
専門知識がない患者さんは、「いい治療」を理解できない。
なぜ、いい治療をしているのに開業に成功できないのか。それは、患者さんには先生の治療が「いい治療」なのかを判断できないからです。最新の治療法で、最高の材料を使った治療をしても、それがどれだけ素晴らしいことなのか、専門知識を持たない患者さんには理解できません。
患者さんが理解できるのは、「痛み」「治療時間が長いか短いか」「先生やスタッフが親切だったか」ということくらい。極端な話、先生がていねいに時間をかけて根管治療をしたのに「治療に時間がかかる嫌な歯医者だ」と評価することさえあるのです。
「いい治療をすれば長持ちするんだから、いつかは患者さんだってわかるはず」そんな風にお考えの先生もいらっしゃると思います。でも、そのいつかはどのくらい先の話でしょうか?10年後でしょうか?20年後でしょうか?
ていねいにやった根管治療が20年もったとして、「あそこの歯医者さんは、長持ちするいい治療をしてくれる」と患者さんに評価されるのは一体いつなのか。20年後に評価してもらえたとしても、開業後すぐに患者さんが集まってくる理由にはならないのです。
開業後に患者さんが医院に来てくれなければ、収入を得ることができませんからすぐに資金がショートして、経営は行き詰まってしまいます。
これが「いい治療」をしていても、開業に成功できない理由なのです。
歯科医院開業 ワンポイントコラム
20年も30年も長持ちするような根管治療をしてくれる先生は、とてもいい先生だと思います。でもそれは、根管治療が長持ちすると大きなメリットがあることを知っているからこそ「いい先生だ」と思えるのです。
根管内を無菌状態にしてから根充をするために、何度も根管治療を繰り返すこと。何十年もその歯を長持ちさせるためには必要なことですが、その処置が歯を長持ちさせることにつながる、その処置の結果、何十年も長持ちする・・ということを患者さんが理解していなければ、「何度も通わせて、なかなかな治療が終わらない歯医者だ」とマイナス評価を受けてしまうかもしれません。
その治療が患者さんにとってどんなメリットをもたらすのか。そのことを伝えられなければ、患者さんは「いい治療」だとは思ってくれないのです。